サマー・パンクチュアル

 友人の一人に、全く時間を厳守できない人がいる。
 彼女は几帳面で、真面目で、潔癖症だったが、時間だけはどうにも守れず、ルーズだった。
 社会人としてちゃんとやっていけているのだろうか、とそれとなく彼女と私の共通の友人に探りを入れてみると、評判は上々だというので、人というのはわからないものだな、と失礼にも思ってしまった。
 そして、今日。
 彼女と約束をしていた。
 私はどうにか間に合いそうな算段だったが、彼女からは相変わらず連絡が来ない。
 きっと、今日も遅れてくるのだろう、と半ば諦めていた。
 ところが、彼女は待ち合わせ場所にいた。
 しかも、何故か不機嫌そうである。
「どうして、時間どおりに来た私が怒られなくてはならないの」と、今までの実績を盾にやんわりと抗議を申し入れると、「これ」と私に腕時計を差し出した。
 なんのことはない。
 私の時計が五分遅れていたというだけの話だった。
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