CALL OF SALE BLACK OOPS

「いいか、貴様ら。心せよ。これは――戦争だ」
 沈黙を破って放たれた一言に、空気の重みが増す。
 一同の双眸に、ギラギラと剣呑な決意が漲る。背筋を張り得物を携行した彼らは、号令一つで戦場を席巻せんと歩みを進めようとしていた。戦場に於いて、無力は罪悪に意味を等しくする。武力を有する集団のみが、栄光を勝ち取ることができる。
「敗者は辛酸を舐めよ。敗北の底無し沼を這いずるがいい。我らが欲するは“勝利”――ただその二文字だ。勝利なくして、平定は訪れぬ。刻は満ちた。武器を取れ! 咆哮せよ! 喝采せよ! 鼓舞せよ! 誰がために貴様は戦うのだ、答えてみよ」
「家族のためです!」或る者は云う。
「未来のためです!」或る者は云う。
「頑張った自分へのご褒美です!」或る者は恍惚の表情を浮かべる。
「ならば征け。総員、突撃――!」
 一個分隊は、一つの黒塊となって、一糸乱れず行進した。
 約束の地を目指して。
 特売国産高級黒毛和牛の待つ、その場所で。
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