奇数決

 凛ちゃんの一喝で教室は静まり返りました。彼女が激昂するなんて私の知る限りほとんどありません。一同が固唾を飲んで見守ります。彼女は小さく咳払いをすると、
「では奇数決で決めます。男子は全員伏せて。女子はそのままで結構です。挙手の数が奇数だったら可決、そうでなければ否決とします」
 その独断的な議決方法に男子から不満の声が上がりました。それもそのはずです。このクラスは男女ともに偶数で、しかも女子の賛同を得られそうにないからです。それに誰かが偶数になるように調整すれば無効になってしまいます。
 その予想は当たりました。案の定男子は顔を伏せつつも横目で盗み見ていて、結局全員が挙手しました。
「否決ですね」凛ちゃんが畳みかけようとすると、男子のひとりが抗議しました。彼は学校生活の栞を取り出すと、
「委員長には投票権ないよな? それに、これでは永久に決まらない」
 結局、公平にくじ引きで決めることになりました。
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